北大というところ

祝日などに掲載するこのシリーズ。
6月は休みがなかったため、久々の登場である。

北大生の日常・生活編

住宅事情

北大生は圧倒的に自宅通学生が少ない。
道内外、果ては世界のあちこちから学生が集う。
そのため、親元をはなれて一人暮らしをする学生が多い。

家探し

大学入学が決まってまずすること、それは家探し。
基本的に早い者勝ちなので、出遅れると遠くて不便で割高な物件しか残っていない羽目となる。

札幌は家賃が安い。
大阪東京の半分よりずっと安い。
そして基本的に礼金はなく、敷金1か月程度。

平均でもワンルームマンションなら、札幌のどこでも平均3万円台という安さ。
大学から二駅三駅離れると家賃はぐっと安くなり、一万円台のアパートも結構ある。
こんなところに一度でも住んだら、東京では暮らせなくなる。

人気は自分の所属する学部近くのマンション。
高層階の方が人気が高く、家賃も高め。
冬の北海道は高層階の方が暖かいためだ。

住宅の構造

北海道の住居は内地(北海道人は道外をこう呼ぶ)とずいぶん異なる。
どんな家でも、玄関扉、さらに扉と、室内に入るまで二つの扉をくぐる。
もちろん、防寒対策のため。

窓は内地に比べると小さ目で、二重窓が多い。
これも防寒対策で、部屋の保温性に優れている。
昔、北大低温研究所の教官が、内地もこれにすれば冷房代がグッと浮くのにと言っていた。
もっともな話だといまだに思う。

暖房は、ファンヒーターが多い。
ファンヒーターといっても、内地のそれとはずいぶん違う。
プロパンガスはとんでもなく高い、都市ガスはやや高く、灯油は安い。
灯油ファンヒーターが最も経済的。
灯油タンクは屋外にあり、業者が勝手に半月に一度ほど入れに来て、後から請求される。
ガソリンスタンドなどの小売りでは、消費に追い付かないためである。
そもそも買い損ねた時点で、凍死しかねない。

ファンヒーターの吸気は外から取り入れ、外に排気されるため、室内の空気は汚れない。
それを、これでもかと炊く。
冬の室内気温、日本で一番高いのは、実は北海道。
Tシャツで暮らせるくらいまで、暖める。
そして、暖かい部屋で、道産子はアイスを食べる。
何でも冬だと食べてて溶けてこないのが良いのだという。

北海道は寒いイメージがあるが、実は大阪の冬よりずっと楽。
雪が積もってしまえば底冷えはしないし、屋内は暖かい。
内地に帰省すると寒くてたまらない。
札幌から私の医院に、助教授が遊びに来てくれたとき、京橋の駅で寒い寒いといっておられました。

水抜き

何日か留守にするときにやらなくてはならないのが、水道の水抜き。
冷え切ってしまった部屋では、水道管が凍って、破裂する。
とはいえ、最近の北国仕様の住宅は実に簡単。
水抜き器のスイッチを押し、蛇口を開くだけ。

札幌の夏

25年ほど前、札幌に移住したころは本当に札幌は涼しかった。
25度を超える日が年間何日かしかなく、道産子たちが暑い暑いと騒いでいたものだ。
それが近年では普通に30度を超える。
温暖化は緯度が高いほど、まともに影響が出る。

だから暑いかというと、確かに暑いのだが、内地の暑さとまるで別物。
さらっとしていて、木陰に入ったり、風が吹くと実に心地よい。
寝苦しい夜もあるが、扇風機を年間10日ほど使えば事足りる。

そして北海道には梅雨はない。
5月の後半、長雨があるが、それが終われば6月は快適そのもの。

一人暮らし以外の選択肢

北大で有名なのは、学生寮。
他の大学寮のように左巻きの巣窟になどなっていなく、いたって健全。
ただし昔ながらの伝統が残っており、独特の文化がある。
いまだに毎年寮歌がつくられる。

恵迪寮の門

北大恵迪寮

グループに分かれて生活しており、半年に一度部屋替えといって、グループの再編がおこなわれる。
グループによっては完全共同生活だったり、個室に分かれていたりする。
同じ趣味などで集まって生活していると、一人暮らしをする気にならないとのこと。
留学生棟や、女子寮もある。
当時は月の寮費が1万円くらい。

他にも2食と一部屋のついた学生会館なんてものもある。
基本的に自炊の一人暮らしより安めだが、食事がまずいとこだと、一年間地獄をみることとなる。

続きます