耳鼻領域と歯科領域

隣の領域

歯科の受け持つ口腔領域と、耳鼻科の受け持つ耳鼻咽喉領域は隣同士。
ゆえに、疾患がまたがる場合があったりする場合がある。
だから耳鼻科との連携が欠かせない場合がある。

その連携は、当院では非常にスムーズ。
というのも、当院の目の前には、加藤耳鼻科がある。
歯が原因の疾患で加藤耳鼻科を受診されたりすると、こちらに紹介されてくる。
逆もまた然り。
データが共有できるように、当院のユニットごとに備え付けられているモニターは、加藤耳鼻科のCTが投影できるようにしてある。
総合病院の歯科と耳鼻科の距離より近い、ある意味最強の環境だと思っている。

今回は、歯科領域に影響を及ぼす鼻疾患についてみていく。

耳鼻科と歯科の解剖学的特徴

副鼻腔

頭蓋骨の鼻の周囲には、いくつか骨の中に空洞がある。
これを副鼻腔といい、通常であれば空気で満たされており、米粒ほどの穴で鼻と交通している。

一番大きな副鼻腔は、上顎洞。
これは、上顎の歯槽骨の真上に位置する。
臼歯部では特に近接しており、大臼歯の歯根が上顎洞にタケノコのように突き出している場合も結構多い。

副鼻腔パノラマレントゲン像
副鼻腔に突き出した歯根

歯周病などで歯槽骨の吸収がすすんでいる場合には、上顎洞と口腔の距離は極めて近くなる。
そのため、インプラント治療でインプラント体を埋め込む際、そのままでは突き抜けてしまう危険がある。
対処法として、上顎洞底をかさ上げする、ソケットリフトやサイナスリフトといった骨増成手術がおこなわれる。

咽頭

口腔領域である軟口蓋(いわゆるのどちんこの前)は、鼻腔と口腔をわける。
その奥は中咽頭と呼ばれる、呼吸と食べ物の通り道となる部分となっている。
そのため、ここに何らかの疾患があると、口腔領域での機能不全などの症状が出ることになる。

続きます