変化しまくる病原体

秋もようやく深まり、いよいよ肌寒い日も増えてきた。
毎年、当院では全員で向かいの加藤耳鼻咽喉科でインフルエンザのワクチンを打ってもらう。
万一感染して、診療に穴をあけたり、患者にうつすようなことがあっては大変だ。
防げるものであれば、防ぐにこしたことはない。

インフルエンザとは

厄介な変異

インフルエンザは、一本鎖RNAの構造を持つウイルスによってもたらされる。
一本鎖RNAによる構造は、DNAのように変異を修復する機構を持たないため、非常に変異しやすい。
そのため、一度インフルエンザに罹患し、抗体ができたとしても、再び感染した時には変異しており、人体からすれば別の病原体。
それゆえ、変異を繰り返し、何回でも感染してしまう。

後の回で後述するが、インフルエンザウイルスの変異は大変異と小変異がある。
ここで述べているのは小変異。
小変異は、症状は以前のものと大きく変わらないが、抗原抗体反応の感受性が異なってしまう。

感染

症状については、ここに書くまでもなく周知されているので割愛する。
感染してから、どれぐらいの期間、他人にうつしてしまうかが重要。

感染経路は、主に飛沫感染。
11月から4月までが流行期とされる。

インフルエンザは感染してから、2日~10日に及ぶ潜伏期間を経て発症する。
ウイルスが放出されるのは、発症前日から発症後3日~7日にも及ぶ。
そのため、学校保健法では「発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日(幼児は、3日)」を出席停止期間と定めている。

学校などで流行してしまう原因は、発症前にウイルスが放出されてしまうという性質上、避けられない。

また、高熱を特徴とするインフルエンザであるが、近年はインフルエンザの特徴をはっきり出さず、微熱程度の発症パターンもかなりの数に上ることがわかっている。
インフルエンザ検出キットの発達が、本来インフルエンザと思われていなかった感染を検出できるようになったからである。

熱が低いからといってインフルエンザでないということはない
インフルエンザ

このようにインフルエンザの感染経路は遮断できるようなものではなく、感染のリスクは社会生活を営んでいる以上避けられない。

続きます