常備薬を使いこなせ
正月明け。
毎年やってくるのが、正月に歯のトラブルがあった患者。
何も正月に症状がでなくてもと思うが、日頃のおこない次第では、このような憂き目にあう。
今年も例にもれず、やってきた。
手持ちの市販薬で痛みをしのいでいたそうだ。
今回は、お手持ちの薬の使い方を解説する。
常備薬
常備薬は、だいたい二つに分類されると思う。
ひとつはドラッグストアなどで買ってきた市販薬。
もう一つは、医科や歯科で処方された薬の余り。
とりあえず薬箱に入ってそうな薬を解説する。
最近は正月でもドラッグストアが開いているためだ。
症状別の使い方
家庭にありそうな薬を、症状別に分類する。
痛み
痛みどめは最もよく使われる薬だが、選択は慎重に。
歯の痛みや頭痛であれば、市販の物であれば、バファリン・ロキソニンといった消炎鎮痛薬が有効。
具体的には、アスピリン・ロキソプロフェン・ジクロフェエナクといった成分のもの。
ただし、イブプロフェン配合の物は、血をさらさらにする薬、バイアスピリンとの併用は避ける。
服用のタイミングによって、バイアスピリンの効果を弱めてしまう。
小児の場合は、アセトアミノフェン配合のもの一択といって良い。
大人が使うのには、痛みに関していえば、少々威力不足。
座薬があれば、種類を問わず迅速に効くので、おすすめ。
腹痛にはこれらの消炎鎮痛剤は奏功しない。
胃薬・腸薬などを使用する。
外用薬
歯痛に関して言えば、正露丸も歯に詰めることで薬効をあらわす。
鎮静効果の高いクレオコートが主成分にあるため。
クレオコートは根の治療に使うくらい、鎮静効果が高い。
ただし想像どうりまずいので、まずくてもとりあえず痛みを止めたいという非常時には、内服鎮痛剤の補助的に使用する。
今治水という薬が薬局で手に入る場合がある。
非常に効果が高いが、できれば避けたい。
神経の除去が避けられない場合があるからである。
正露丸も痛みに効果がある
腫れ
歯ぐきや親知らずなど、細菌性の腫れに使える内服抗生剤は、日本では販売されていない。
耐性菌などの問題に加え、抗菌薬の使い方を間違うと感染症は、敗血症などの命取りになるためだ。
腫れがひどく、顎から首まで大きく腫れた場合は、医療機関が開くまで待たず、すぐに救急車を呼ぶこと。
蜂窩織炎といって、命取りになることがあるためだ。
なお、急性症状においては、照葉などの歯歯周病向けの歯磨き粉や、軟膏は効果がない。
うがい薬
腫れなどの細菌感染の補助薬として、うがい薬は選択肢の一つ。
リステリンなどのアルコールが入ったものはできれば避けたい。
刺激が強いためだ。
アズノール系のものも、殺菌ではなく粘膜の修復よりなので避ける。
安定して使えるのが、イソジンなどのヨード系。
ただし、甲状腺疾患などがあれば避ける。
総論
これら薬局で手に入るような薬は、あくまで短期間の対症療法。
一次的に痛みなどをやわらげるだけだ。
歯科医院が診療を始める時間になれば、迅速に受診することをおすすめする。
賢い常備薬使い 完