熱中症の予防と対策

序論

まだ7月も半ばというのに、毎日ひどい暑さが続いている
先週からの一週間で、全国で熱中症のため救急搬送された人が1万人近くに上っているそうである。

昨日、薬局やドンキホーテに行ったところ、スポーツドリンクの販売が底をついていた。
とくに、カロリーオフの飲料は棚から消えている始末。
連日の報道をみて、みんな熱中症の対策として買いあさっているのだろう。

大東市は小学校のクーラーの普及率が100%だが、東大阪市などは普及が遅れている始末。
予算が足りないのだという。
生活保護などの福祉には莫大な予算が計上されるが、公共福祉には予算が回されない。
市の予算の実に五分の一が生活保護費。
あおりを食った結果、クーラーの普及は遅れ、相当数の児童が熱中症になっているという。
納税者としては、ゆがんだ福祉を憂いざるを得ない。

強い日差し

わかっていてもなってしまう熱中症。
根底には学校関係者などの、医療知識の不足が大いに関係していると思われる。
今回は、日本救急医学会のガイドラインにのっとた、正しい熱中症の知識と対策を述べていく。

熱中症の診断

熱中症は、暑熱や高体温によってもたらされる諸症状の総称である。
主症状として、熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病があり、それらをまとめたものが熱中症。

若い人のスポーツや労働による労作性熱中症は発症頻度が高く、診断も比較的容易で重症化に至らない場合が多い。
もともと壮健な人間ゆえに、体調変化に気づきやすいということもあるだろう。

ところが高齢者の非労作性熱中症は、普段の生活の中で徐々に進行していくため、気づきにくい、気づかれにくい。
高齢者は、熱に対する感受性が低く(高齢者が熱い風呂を好むのもこれが原因)、体温調節能も衰えている。
加えて基礎疾患を有する場合も少なくないため、熱中症と気づかないまま重症化に至るケースが多い。

つまり、連日報道されているような典型的な症状だけでなく、気づきにくい症状が先行したうえで重症化することもあるということ。
特に高齢者や、小児といった基礎体力がない場合には、気づかないまま重症化しているリスクが高い。
熱中症で重症化し、搬送される患者のうち、命にかかわるのは圧倒的に非労作性熱中症が多いのだ。

そのため、2015年日本救急医学会は、症状分類にとらわれることなく、症候群として重症度に応じた分類をガイドラインに発表した。

続きます