アナフィラキシー 免疫とアレルギー その6
アナフィラキシーは、アレルギーの中でも最も恐ろしい疾患。
急性で全身性のⅠ型アレルギーの疾患のひとつ。
毎年、夏の終わりごろからハチに刺される事故で命を落とす人が報じられるが、これこそがアナフィラキシー。
重症なものは特にアナフィラキシーショックと呼ばれ、命にかかわる。
今回はⅠ型アレルギーから切り離して、単独で解説する。
意外と身近なアナフィラキシー
過去にアナフィラキシー症状を呈したことがある患者は、文部科学省が学校での保健調査として公表している。
その頻度は、小学生0.6%。・中学生0.4%。・高校生0.3%。
300人の学校であれば、1~2人いることとなる。
Ⅰ型アレルギーなので、既往がなくても誰もがおこりうる疾患。
それに対する学校保健が十分におこなわれているとは到底思えない。
原因
医薬品・ラテックス(ゴム)・ハチ・食物など
もっとも多いのが薬剤で、ハチ、食物と続く。
薬剤ではβラクタム環系抗菌薬・筋弛緩薬・解熱鎮痛剤・局所麻酔薬・血管造影剤など。
食物では卵がトップで、乳製品・小麦・そば・ピーナッツと続く。
食品におけるアレルゲンの表示
症状
皮膚症状がほとんどの場合みられる。
じんましんや皮膚の発赤、かゆみ・粘膜症状が90%以上で発症する。
ついで呼吸器症状や上気道浮腫や窒息などが70%。
これは即命にかかわる症状。
血圧低下や、それに伴うめまいは45%ほど。
腹痛や嘔吐といった消化器症状も45%ほど。
他にも頭痛・胸痛・けいれん・失神・粘膜症状・失禁など。
アナフィラキシーの診断基準としては、日本アレルギー学会の基準では次のようになっている
症状は、抗原に接触してから10分ほどで出てくる。
ショックの場合は、心停止までの平均時間は薬剤性のものが5分、ハチで15分、食べ物で30分といわれている。
つまり、一刻を争う。
救急車すら間に合わない場合も、多々ある。
続きます