身近だが怖い疾患

高血圧は、身近ながらも厄介な疾患。
一見、歯科とは関係なさそうであるが、実は歯科こそ血圧の上がりやすい環境。
治療のために頭を下げる、昇圧作用のある麻酔を使う、挙句の果てには緊張で血圧が上がる。
なかなか高血圧の患者を治療するには、気を使うのである。
今回からは、高血圧について解説していく。

高血圧とは

血圧

血圧は、心臓から送り出された血液が、血管の壁を押す力。
スクリューのように一定のスピードで血が送られているわけではなく、心臓が縮んだり拡大したりしながら圧送するため、血圧には波がある。
心臓が縮んで血を送り出した時が血圧が高く、これを収縮期血圧。
いわゆる、上の血圧。
心臓が拡張して血を吸い込んだ時が血圧が下がり、これが拡張期血圧。
いわゆる、下の血圧である。
血圧が上下二つの数字から構成されているのは、このような仕組みとなる。

高血圧の定義

高血圧は、計った時にたまたま高かった、というものはカウントされない。
繰り返し計って高ければ、高血圧とされる。
血圧は一時的に高いことは、人体にとっては普通にありうることで、差しさわりはない。
常時高いことは、様々な問題を引き起こす。

普通、血管は伸縮性に富んでいる。
ところが、常時高い圧力を受けると、それに対抗するため血管は厚く、硬くなる。
血管が傷つけられ、それを修復するためコレステリンやマクロファージの残骸などが蓄積するためである。
こうなると冬場のホースのように血管は固くなり、弾性を失い血圧を吸収しにくくなる。
これが、高血圧の機序。

具体的に高血圧は、数値によって重症度が分類される。
数値となる血圧の単位は、mmHg、ミリメートル水銀柱。
最近は見なくなったが、水銀血圧計を使っていたころの名残。
重い水銀と血圧がバランスした数値で計測していた。

重症度は、日本高血圧学会のガイドラインに則って次に載せる。

高血圧の分類 出典:日本高血圧学会
高血圧の基準

原因

はっきりとは原因がわからない本態性高血圧が9割以上を占める。
生活習慣や遺伝など、さまざまな因子が重なり合っておこるとされている。

高血圧の症状

高血圧の怖いところは、症状がないということ。
頭が痛い・目がはっている・どきどきするといった症状もあるにはある。
しかしいつもそのような症状があるわけではなく、静かに自覚症状がないまま進行していく。
高血圧で大きな問題になるのは、合併症。
高血圧が引き起こす様々な障害こそが、問題となる。