タバコが与える影響
タバコは体に悪い。
誰もが知っていることである。
当然、歯にも大きく影響する。
では、具体的にどのような影響を与えるか、小話も交え見ていきたいと思う。
タバコとは
もともと南米原産のナス科の植物。
日本には関ヶ原の戦いのころ、薬として入ってきたとされている。
タバコに含まれるニコチンが、強い依存性をもたらす。
ニコチンは、植物であるたばこが、害虫から身を守るために生合成するアルカロイドの一種。
植物自体にとっても有害なため、細胞内小器官である液胞に貯蔵される。
ナス科ということで、二次大戦中はナスの葉を乾燥させてタバコの代用とした話がある。
微量のニコチンは含まれるものの、あくまで気分だけのものだろう。
公衆から消えるタバコ
公衆の面前からタバコが放逐されだしたのは、ごく近年の話。
かつては大学の廊下のあらゆるところでタバコが吸えたし、かつては北大病院で歯科医がタバコを吸いながら診察していたという。
飛行機でも離陸してしばらくすると、禁煙ランプが消灯し、一斉にスモーカーがタバコに火をつけていた。
新幹線にも喫煙車があり、つい半年ほど前までは近鉄特急に喫煙車が残っていた。
医療機関とて、同様である。
禁煙外来を設置するためには、施設内から喫煙スペースを排除する必要がある。
あまりおおやけには言えないが、だいたいの医療機関には隠し喫煙所がある。
かつて、大阪の某公立大病院で、強引に喫煙所を潰したことがあった。
結果として、半数以上のドクターが退職、病院機能がマヒした。
ドクターからすれば、労働基準法すら自分らには守ってもらえないのに、そんなところだけ頑なに守るなといったところだろう。
ちなみに、喫煙するドクターは、腕の良い傾向がある。
理由は、離職されると困るドクターは、黙認される傾向が多いためである。
タバコの有害物質
ニコチン
たばこの嗜好性の大元となる物質。
強い依存性を持つ。
血管を収縮させる作用から、循環器系の疾患の原因となる。
たばこを初めて吸った人が、くらくらするのは、脳の血管が収縮するのに慣れていないため。
毒性があり、高濃度の摂取では中毒を起こす。
タール
茶褐色の油状物質。
発がん性の本体であり、ヤニの主成分。
たばこの健康被害の本質は、中毒性のあるニコチンを摂取することで、発がん性など有毒性の固まりであるタールを摂取してしまうことにある。
一酸化炭素
一酸化炭素は、血液中の赤血球のヘモグロビンに対する親和性が酸素より高い。
そして、いったんヘモグロビンと結合した一酸化炭素は解離するまで長い時間を要する。
そのため、酸素運搬に用いられるヘモグロビンの割合が低下するため、激しい運動では息が切れるようになる。
タバコの有害物質の表記
さて、これらの有害物質が、どのような影響を口腔内に与えるのであろうか。
続きます。