舌は臭いの発生源

一昨日、和泉市のカーペット工場で、清掃中の作業員が無くなる事故が起きた。
半年以上放置されていた糊が腐敗し、発生した硫化水素による中毒らしい。
いわゆるイオウの臭いの正体はこれであり、腐卵臭とも称される。

硫化水素は猛毒である。
細胞のミトコンドリアの、電子伝達系の酵素であるシトクロムcオキシダーゼを阻害し、濃度によっては数呼吸で呼吸麻痺に至る。
火山地帯で立ち入り規制がひかれてる場所は、硫化水素の発生があるためであることも多い。

この硫化水素、実は口臭のもとのひとつである。
今回は、口臭について解説する。

口臭の種類

口臭には、大まかに分けて2種類ある。
口腔が臭いの発生源の、口腔由来病的口臭。
そして、全身疾患が由来の、全身由来病的口臭である。

口腔由来病的口臭

口臭の発生源の7割は、舌である。
舌でも、発生源は舌の表面にある、舌苔という白い苔のようなもの。
舌苔が厚積すると、ここから臭いを発生する。
流動食などの摂取で機械的な剥離が不十分になったり、口呼吸で口腔乾燥をおこすと、舌苔は肥厚する。

厚みを増した舌苔の内部は、酸素を嫌う嫌気性細菌の温床となる。
ここに、脱落した舌苔のタンパク質を分解する細菌が湧くことで、口臭物質が産生される。
タンパク質にはイオウが含まれている。
タンパク質の代謝物のイオウを含有する物質こそが、臭いの原因。

肥厚した舌苔
舌苔

揮発性硫黄化合物

この臭い物質は、揮発性硫黄化合物。
特に代表的なものを列記する。

硫化水素:卵の腐った臭い
メチルメルカプタン:タマネギが腐った臭い。最強の悪臭源。
ジメチルサルファイド:生ごみの臭い。

これらが口腔内から揮発することで、口臭として認識される。

他の口腔由来病的口臭

舌は口臭の代表的な発生源であるが、歯周病が進行すると激烈な臭いを発してくる。
通常の口腔内では、硫化水素が最大の濃度であるが、歯周病が進行するとメチルメルカプタンの濃度が高くなる。
他の揮発性硫黄化合物の臭いと相まって、ドブの腐ったような臭いとなる。

深くなった歯周ポケットは酸素に乏しく、嫌気性細菌である歯周病菌の温床。
この歯周病菌が、歯肉浸出液中に多いメチオニンを基質として、メチルメルカプタンを産生するためである。
メチルメルカプタンは毒性が強く、「毒物及び劇物取締法」に指定されているほど。
歯周の粘膜の透過性を亢進させる作用で、細菌の菌体外毒素などを歯周組織に浸透させやすくしてしまう。
これにより、歯周病はさらなる悪化を招く。

他にも、虫歯自体も臭気の原因となる。
学生時代、口臭を数値化する装置を実習で使用したところ、う蝕のある同期の口臭が、通常の数倍の値をカウントした。
う蝕ばかりが原因とは言い切れないかもしれないが、臭いの一因となっていたのは確かである。

続きます