北大は総合大学だ。
学部は12学部あり、研究機関は多数。
そのため、1年半におよぶ教養は、必修科目に加え、多分野から多彩な選択授業を選ぶことができる。
いろいろな学部の先生方が授業を提供するためである。
全ての学部から、混成でクラスが編成される。

楽して単位を取得するもよし、自分の好きな内容の授業を受けるもよし。
毎回出席表に名前があれば単位をくれる授業(代筆可)。
逆に全ての授業をでて、厳しいレポートをこなしても異常な不可率の講義。
単位とかを気にせず純粋に興味本位で選ぶ講義は、北大ならではのアカデミックなものがある。
私などは、理学部・地球惑星科学の新井田教授の火山学の授業で、昭和新山に登るというフィールドワークも体験した。
私も含めみんな地学マニアなので、授業まるまるブラタモリ状態であった。
ほかにも世界で初めて雪の結晶を作った低温科学研究所の、マイナス90度の部屋でバナナで釘を打つなど、楽しい授業満載であった。

そのため選択授業は、人気講座に希望者が殺到する。
受けたい授業を受けるために必要なもの、それはジャンケンの強さである。
いくら学力優秀な者でも、ジャンケンが弱ければ履修はかなわない。
実に理不尽にして公平なシステムである。

単位を楽にとって、大学生活を満喫したいと思うのは大学生にとって当然のこと。
そのため、情報収集は重要である。
今のようにネット上に情報がない時代のことだ。
部活の先輩などからのアドバイスや資料は貴重であった。
特に役に立つのは、鬼仏帳(きぶつちょう)と呼ばれるコピーでできた小冊子。
単位を簡単にくれる教官は仏、逆にくれない教官は鬼。
激鬼、やや仏など履修における単位取得難易度がうまくまとめられている。
ただ一人、神という評価の教官がいた。
履修届を出した時点で単位が確定する、仏をこえる存在ということで神ということである。

ただし、必修授業では鬼がわかっていても、固定クラスなので不可避。
ドイツ語などの第2外国語、高等数学、高等化学などは、高校とは比べ物にならないくらいきつかった。
さすが旧帝大、国立の最高峰に恥じぬ内容である。

大学に入っても体育があった。
ゴリゴリの体育会系もいるが、そんなの関係なく楽しもうという程度。
基本出席すれば単位は出るが、朝一の授業ゆえ起床できるかに全てがかかっていた。
特に吹雪くような冬場の朝は要注意。

それでも1年次のうちに可能な限りに単位を取得しておいて、2年前期は週二日しか授業がなかった。
週休5日、おそらく一生のうち一番のんびりした時代。
しかし、平和はいつまでも続かぬのが世の常。

続きます・お休みの日などに