歯の追加の症例
金属のバネの代わりに、樹脂製のバネを使用して目立たなくした入れ歯を、ノンクラスプデンチャーという。
その一つに、AIデンチャーがある。
最強の樹脂を材料とし、実用新案の技術を使って作成したAIデンチャーは、他のノンクラスプデンチャーとは比べ物にならないほど高機能。
かめる、強靭、目立たない、違和感が少ないなど、その機能には枚挙にいとまがない。
その機能のひとつに、完全な修理ができる、というのがある。
滅多なことでは壊れようもないが、歯が一本さらになくなっても、AIデンチャーであれば歯を追加して新品同然にリメイク可能なのだ。
AIデンチャーの製作技術
AIデンチャーを製作するのは、九州にある技工所、K-dental。
日本最高クラスの技術を持つ技工所であり、はるか九州でつくられる。
AIデンチャーを構成する樹脂は、アルティメット樹脂といい、極めて強靭。
他のノンクラスプデンチャーに使われるポリカーボネートなどの樹脂に比べ、十数倍もの強度を誇る。
その強度は、自衛隊のジェット戦闘機の風防ガラスよりもずっと強く、軽い。
ちなみにあまり歯科界でなじみが薄いのは、樹脂が技術の極めて高い技工所にしか卸されないため。
開発元が、低技術で義歯を作成されて評価を下げられないようにする、という販売戦略をとっているからである。
樹脂は、精密な型を作成し、何と射出成型で作成される。
通常の義歯では、型に原料を入れてから加熱重合するので、重合収縮などがおこり精度が悪い。
対して射出成型では、高圧をかけて充填成形する。
極めて精度が高く、戦闘機などの複合素材の成型に用いられる技法。
義歯改造の手法
AIデンチャーの改造には二つのやり方がある。
歯科医院での改造
いったん技工所で、医院に備え付けの即時重合レジンに接着する加工をしてもらう。
ただし、強度は即時重合レジンに準ずるため、根本的解決ではない。
あらかじめ抜歯が予定されていて、応急処置的な改造が必要な場合におこなう。
技工所での改造
AIデンチャー内面にシリコン印象材を盛り、咬座印象で粘膜面の印象をとる。
対合歯列の模型と、咬合を採得し、技工所に送る。
技工所では新たな射出成型の型をおこし、既存のAIデンチャーもろとも射出成型をおこなう。
増歯や、歯ぐきが痩せてきて適合が悪くなった場合などは、このやりかたで新品同様にリメイクされる。
なお、この手法が取れるのは、アルティメット樹脂を用いた義歯のみである。
他のノンクラスプデンチャーノンクラスプデンチャーでは、一切の修理や改造ができない。
そのため、長期的な視点では、AIデンチャーの方がコストパフォーマンスは優れている。
増歯の症例
左下7番が歯周病により抜歯となった症例。
歯ぐきが落ち着くのを待ったのち、射出成型により増歯をおこなった。
元の歯列。写真は作成時の試適のもの
抜歯後、増歯して射出成型で再成型したAIデンチャー
横から増歯部分をみる。新品同様になった
このように口腔内の状況に応じて改良していけるのが、AIデンチャーの強み。