歯のマニキュア・コート剤
歯を白くする
誰もが憧れる白く輝く歯。
芸能人のほとんどがホワイトニングどころか、セラミックの薄片などで歯を審美的に白くしているほど。
歯を白くするには、いくつかの方法がある。
簡単なのは、ホワイトニング。
ただし、漂白部位にレジンなどの詰め物があれば、そこだけ変色せずに色残りしてしまう。
それ以上となると、歯自体にかぶせてしまう補綴や、セラミックの薄片を歯を削ったうえで貼り付けるラミネートべニアなどが多い。
健全な歯を削るということと、価格が高いのが難点。
歯のマニキュア
そこで、歯にマニキュアがあれば、と思ったことがある方もおられるのではないだろうか。
実は、いくつか歯科医院向けには発売されている。
クラレのホワイトコートと、松風のビューティコートである。
北大第一保存開発・ビューティーコート
先行品であるホワイトコートはいまいちな印象。
ビューティーコートは私のいた北大歯学部第一保存科が松風と開発した製品。
後発ということもあり、欠点が改善されている。
松風というメーカー、ネイルをされる方は聞いたことがあるかもしれない。
実はもともと松風は歯科材料メーカー、ネイルは歯科材料を転用したに過ぎない。
開発当初、ふざけてラメ入りなどもつくられたが、当然のように厚生労働省の認可は下りなかった。
とはいえ今でも面白いと思う、発売してほしいものだ。
ビューティーコートの特徴
他の歯を白くする方法と違い、透明感や光の抜けは得られない。
どうしても自身の歯やセラミックのような自然感や美しさは実現できない。
ただ単に、一時的に白くするだけで、塗料を塗ったようにべたっとした印象。
耐久性も持って3か月くらい。
早いと、次の日はがれたりすることも。
接着効果のあるボンディング剤を用いてもそんなにはもたない。
理由は、歯のたわみのため。
ものすごい力のかかる歯は、実は微妙にたわむ。
歯ぎしりの癖がある人は特にすごい。
このたわみのため、ビューティコートがそれに追従できずに、接着面から剥離する。
着色もおこる。
ワインやコーヒーなど色の濃いものは要注意。
特に施術後1日以内がおこりやすい。
北大の医局で、医局員同士で試してみたことがある。
その後、好物のスープカレーを食べたところ、見事に黄色になった。
術式
はっきりいて、腕の差が非常にでやすい。
ただ盛り上げただけでは、人工感まるわかりになる。
マニュアルどおりでは、不十分。
オペークといって、背後の色を遮断するコート剤のうえから、出したい色のコート剤をのせる。
その広げ方と、厚みのコントロールがキモ。
私は、塗っては研いでを繰り返すことで、できる限り自然な感じを出している。
症例
知覚過敏のひどい患者
結婚式にむけて、ホワイトニング希望であったが、ホワイトニングに耐えられないと判断し、ビューティコートを使用することとなった。
術前
術後
結婚式直前にホワイトニング希望で来院
到底間に合わないのでビューティコートで白く。
術前を撮っていなかったため、スタッフと比較。
ビューティコート施術後
スタッフ(右)と比較
ビューティコートの好適応
ビューティコートは歯を傷つけない、審美性には劣るが、ホワイトニングの副作用の知覚過敏が懸念される場合は非常に相性が良い。
また、効果にムラがあるホワイトニングと違い、確実に白くなる。
また、オペーク剤を用いて銀歯すら白くできる。
特に急な事情や、一時的に白くする場合はビューティコート一択だろう。
ビューティコート施術の患者は、結婚式などのイベントがある方ばかりである。
ビューティコート施術は保険外治療。
施術にはまとまった時間が必要なので、早めの予約が望ましい。
歯のマニキュア 完