北大の学校設備
北大は旧帝国大学、日本の国立大の予算は、東大から順に優秀な順に配分される。
日本初のロケットを打ち上げる設備を持っていたかつての東大宇宙研究所(旧ISAS)などは、その予算が生み出した典型的な例。
北大も、そこまでは至らないが、まあまあ予算を配分されている。
美しいキャンパス
札幌駅から降車して、十分ほどで正門に到達する。
一歩でも足を踏み入れると、そこはきれいに手入れされた大学キャンパス。
観光地としても多くの人が、季節を問わず訪れる。
広大すぎるキャンパスは、プロの手によってきれいに保たれている。
校内の道路や植物、建物に至るまで。
一体どれだけのお金がかかっているのか想像もつかない。
研究設備
研究の要の設備は、地方大学では考えられないだろう。
理学部では、小惑星探査機はやぶさの資料分析をおこなう機器や、低温科学研究所の極地環境を再現できる設備、一棟まるまるのスーパーコンピューター。
アイソトープ研究所、ゲノム解析センター、挙句の果てには医学部病院の地下にサイクトロン。
工学部の電子科学研究所など、枚挙にいとまがない。
世界と戦える研究設備が、山のようにある。
いずれも民間ではできないことを研究し、それを産官共学事業として世間に返していく。
北大歯学部は、割と予算の回らないところであった。
それでも、基礎研究棟が建設され、学部の建物も改築されて、私がいたころとは比べることもできない。
教育設備
旧教養の施設は、細かいところが裕福。
もちろん旧体然とした教室もある。
しかし、コンピューター室や、図書室などは設備にお金がかかっていて使い勝手が良い。
地方大学との違いを感じたのは、トイレ。
こまめに清掃が入り、人が入ると点灯する照明、当然のようにウォッシュレット。
そして何より紙が良い。
学生大会で九州歯科大にいって、トイレの硬い紙に閉口したことがある。
こういう細かいところに予算の差を感じた。
歯学部の実習設備
現在の学生たちは、私のころからは考えられないくらい恵まれているようだ。
私のころは、全てがアナログであった。
クラウンの作成では、溶融金属を遠心鋳造機でグルグル回して鋳込んでいた。
入れ歯も、鍋でゆでて重合させるのである。
ワックスをアルコールトーチで溶かしながら作業するときは、クーラーのない札幌なので暑くて閉口したものだ。
今は全自動で、機械にセットするだけらしい。
それで、自動でセラミックが鋳造される。
まあ、保険でおこなう治療はいまだにアナログなものなので、実態に沿っているといえば沿っていたといえるかもしれない。
北大では、個人で使う実習用品はすべて貸与された。
大阪大学などでは、石膏すら自前だったそうだ。
なくなったものは、学年終了時にみんなで割り勘で負担する。
北大で実習中の私・ずいぶんと若い
ここはお金をかけてほしかった
恵まれた大学施設であったが、我慢ならないことが一つだけ。
歯学部はオイルヒーターによる集中暖房。
とんでもなく暖かく、熱いくらい。
ところが、夕方5時になると切られてしまう。
場合によっては徹夜に近い勉強をこもってやる身としては大問題。
冬の北海道の寒さをなめてはいけない。
いくら着重ねても耐えられない。
唯一、コンピューター室だけが温度管理されている。
試験前は、深夜まで勉強するものでごった返していた。
暖房ぐらいは、充実させてほしかった。
今は、どうなっているだろうか。
北大の大学設備・完
続きます