本日、日本競泳界のエース、池江璃花子さんが白血病のニュースが流れた。
まだ18歳で、東京オリンピックでの活躍が期待されていただけに、非常に残念である。
早い復活を祈るばかりである。
白血病とは
血液の成分である、赤血球・白血球・血小板は、元はと言えば、造血幹細胞と呼ばれる細胞から分化して生まれる。
この造血幹細胞が異状をおこし、正常に分化できなくなり、機能をもたない未分化のまま、不死化して大増殖したのが、白血病。
ある意味腫瘍化ともいえるため、血液のガンとも称される。
※細かいことをいうと、実際にはガンではない。
ガンの定義は上皮組織の悪性新生物。
血液は、結合組織に由来するため、医学的にはガンとは分けられる。
注意するのは、ガン保険が、どこまで悪性新生物をカバーしているか。
白血病や骨肉腫など、ガンではない悪性新生物をカバーしているか、確認するべきである。
血液がつくられるのは、骨の内部の骨髄。
ここで大増殖した、未分化の白血病細胞は、骨髄内でいっぱいになり、正常に分化する造血幹細胞の増殖を妨げてしまう。
そうなると、正常な血液が必要量つくられなくなり、血液が不足して、症状が出てくる。
池江璃花子さんが肩で息をするようになったのも、酸素の運搬役である赤血球が不足したため。
白血病では正常な血液がつくられにくくなる
白血病の症状
白血病の症状は、正常な血液がつくられないことと、あふれかえった白血病細胞が他の臓器に浸潤することの、二つの要因でおこる。
造血障害
もっとも特徴的な症状は、貧血・易感染性・出血傾向。
貧血
赤血球の不足の結果おきる。
具体的には、動悸、息切れ、めまいなど。
通常の貧血とは異なり、鉄分やそのほかの造血に必要な栄養素をとっても改善がみられない。
他の症状に比べて、比較的自覚症状が出やすい。
報道から、池江璃花子さんも明らかに貧血の症状を自覚している様子だった。
易感染性
体の防衛の中核を担う白血球の不足の結果おきる。
風邪をひきやすくなったり、ひいた風邪がなかなか治らない、発熱しやすいなどの症状がおこる。
口腔内では、歯周病や、根尖性歯周炎の急性化など。
以前、私が見つけた白血病患者は、清掃状態が良好にもかかわらず、歯肉溝からの排膿がみられた。(詳しくは、こちら)
なかなか感染症が治らない患者が、血液検査で白血病がわかることは、珍しいことではない。
出血傾向
血小板の不足は、出血のさい、凝固して傷を防ぐことを妨げてしまう。
そのため、ちょっとした傷でも血が止まりにくかったりする。
具体的には、鼻血がよく出たり、あざ(皮下血腫)ができやすくなったりなど。
浸潤性障害
普通のガンであれば、転移する。
対して白血病では、骨髄内からあふれ出して、他の臓器に浸潤する。
脳神経系に浸潤した白血病細胞は、吐き気や頭痛を引き起こす。
肝臓や脾臓に浸潤した白血病細胞は、臓器の腫脹をもたらし、腹部の張りや痛みをおこす。
リンパ節に浸潤した場合は、リンパ節の腫れや腫瘤をもたらす。
歯周組織に与える影響は、歯肉に浸潤することで、歯ぐきの腫れや腫脹をもたらす。
私が白血病に気づいたときは、まさにこの症状であった。
直近で作った自費の超精密入れ歯が、突如あわなくなったからである。
続きます