新入生の生活 前編

祝日に書く北大シリーズ。
今回のお題は、入学前後の話。
期待と不安の入り混じる新入当時。

合格発表から入学まで

合格発表

合格発表は掲示でもおこなわれるが、全国から受験生が集う北大、わざわざ見に来るのは地元民だけ。
当時はレタックスという、郵便局に送られたファックスを速達で届けるサービスで第一報が受験生に届けられた。
その後に遅れて合格通知書が届く仕組み。
いまでは時間になると、ネット上で公開されるのが主流。

合格してまずするのは、札幌にいって下宿先を決めること。
こういうものは早い者勝ちなので、合格に浮かれてもたもたしてると、ろくな物件が残っていないことになる。
そして、引っ越し業者の手配など、やることは多い。
後期試験合格組に至っては、オリエンテーションまで2週間ほどしかないので大変どころではない。

おれおれ詐欺に救われた男

部活の後輩にO君という男がいる、良い奴なのだがいささか幸が薄く、アジアのお土産の木彫りのような顔をしている。
彼が幸薄いのは、受験の時に運を大量に使い果たしたからだと私は思っている。

彼は本来、北大歯学部には合格するはずではなかったのだ。
彼の入試成績は、補欠の2番目。

ところが学校が、補欠1位の受験生に電話連絡したところ、おれおれ詐欺だと間違われてしまったらしい。
「合格おめでとうございます。入学まで日がありませんので、いついつまでに至急入学金もろもろ〇〇万円を振り込んでください。」というのが補欠合格者への電話連絡。
電話を取った補欠一位の保護者だかは、完全に詐欺だと決めつけて、取り合わなかったとのこと。
かくしてO君は次点で北大歯学部に滑り込むことができた。
後に教務から事の顛末を教えてもらったらしい。

オレオレ詐欺の罪は深いが、稀には予想もつかないことが
オレオレ詐欺

オリエンテーション

入学式に先立ち、ガイダンスやオリエンテーションがおこなわれる。
これは、一クラスしかない歯学部の、6年間を一緒に過ごすクラスのメンバーが初めて顔を合わせる場でもある。
我々の学年は男女比がほぼ1:1で、工学部のように悲惨な状況でないことが判明。
入学や履修の流れが担任により説明された後、終了と思いきや、たくさんの上級生がなだれ込んできた。

これは、部活やサークルの勧誘。
2年生のクラス委員が、ひとりひとり自己紹介するよう仕切る。
名前、出身、高校での部活など。
全員の自己紹介が終わると、上級生による部活へのリクルートが始まる。
これは、上級生になった後、立場を変えて毎年行った。

その夜は、上級生がクラス飲み会をする流れをつくってくれ、その後6年にも上るクラスの初めての飲み会がおこなわれた。
緊張の中徐々に打ち解けていったのを覚えている。
未成年が多いのにもかかわらず、当時は全く問題にもならなかった。
今からすると、おおらかな時代だったと思う。

続きます