医者泣かせの疾患

ぜんそくといえば、子供の病気というイメージが強いのではなかろうか。
しかし、重症なぜんそくは、むしろ大人のぜんそく。
子供のぜんそくは有病率6%だが、大人でも3%ある。、
薬が進化したとはいえ、いまだ毎年1500人以上がぜんそくで亡くなる。
しかも、われわれ歯科医が当たり前のように処方する、痛みどめが原因のぜんそくがあるのだ。
だから、問診票には、ぜんそくの既往歴がないかチェックする項目がある。
今回から、ぜんそくについてとりあげていく。

かくいう私もぜんそく持ちである。
私は鉛やカドミウムに強いアレルギーがあり、最初に出たのは、21歳の時、北海道での雪解けのスノーダストで発症。
しばらく鳴りを潜めていたが、7年ぐらい前中国からのPM2.5 がピークの時に再発症した。
明け方に発作が出て、睡眠不足と相まって非常に苦しい思いをした。
成人で私のように原因がはっきりしているケースは珍しい。
大人のぜんそくは、原因もあいまいで、難しい。

ぜんそくとは

ぜんそくの症状

ぜんそくとは、気管支に炎症がおこってそれが持続することにより、刺激に対して敏感になり、慢性化して気道が狭窄した状態。
そのため、ちょっとした刺激でも咳を誘発し、喘鳴(ぜいめい:呼吸でひゅうひゅういうこと)がおき、呼吸が苦しくなる。

ぜんそくを定義する主徴は4つある。
・可逆的な気道の狭窄(発作が終わると気道が広がる)
・気道の過敏性の亢進(刺激に非常に敏感)
・炎症細胞などがかかわる慢性的な炎症
・炎症の持続による気道の損傷と、構造の変化

ぜんそくの気管支モデル。左は正常で、右が発症
気管支ぜんそく

ぜんそくの原因

小児のぜんそく

小児のぜんそくの原因の多くは、アレルギー反応。
そのためアトピーや、アレルギー性鼻炎との併発が多い。
好発年齢は2歳ぐらいからで、6歳までに8割以上が発症する。
成長とともに寛解し、思春期で軽快、成人では7割以上に症状消失がみられる。
ただし残り3割程度は、成人のぜんそくに移行する。

成人のぜんそく

非アレルギー性が多い。
環境や体質など複合的な要因が原因とされるが、はっきりとわからない場合が多い。

続きます