白色病変いろいろ

口腔内に現れる白色病変は鑑別がややこしいものも多い。
時として、癌につながる病変など厄介なものもあるため、経過観察で済ませられないものもある。
実際、白板症から癌化しているものを診察したこともある。(詳しくはこちら
今回は、その鑑別にかかわる話。

レース状の白斑

60代男性、連休明けに口腔清掃のために来院。
部分義歯を着用。
頬粘膜、上歯槽、咽頭にびらんを伴う白いレース状の白斑を認める。
パッと見たところ、扁平苔癬のような所見。
アズレンうがい薬を処方、1週間後に経過観察とする。

1週間後、やや広がりを見せていた。
白斑は、カンジダのようにボロボロ崩れるような感じではない。(カンジダ・詳しくはこちら
レース様、両側ということで真っ先に疑うべきは、口腔扁平苔癬。(扁平苔癬・詳しくはこちら
いつものように警察病院、石濱先生に精査を依頼する。

右頬粘膜の病変

白板症とカンジダ

白板症とカンジダの混合病変

びらんを伴う白板症とカンジダ

警察病院での検査

私がカンジダではなさそう、と診断した症例。
警察病院では頬粘膜に白苔をみとめ、まずはカンジダ疑いで抗真菌薬治療をおこなうことになったらしい。
ファンギゾン含嗽によるうがいが一定期間すすめられる。
慢性に経過したカンジダ症は、白苔が肥厚しぬぐってもとれにくい。
カンジダを除外した上での、検査という流れにするとのこと。
考えられる可能性を、ひとつひとつ潰して残ったもので診断を絞り込む手法。

果たして2週間後、右頬粘膜の白斑は消失した。
咽頭部ならびに右頬粘膜の白斑はカンジダ由来のものであった可能性が高い。

消えない白斑

ところが左頬粘膜の白斑は消失しなかった。
そこで部分生検をおこない、病理に組織がまわされた。
病理検査では、扁平苔癬のような上皮下に帯状のリンパ球の浸潤はみられなかった。
しかし、基底部の細胞に核の肥大が認められた。
ついた診断は、白板症。

白板症は、10年以内に癌化する確率が5~15%の前癌病変。
癌化しても私なら病状変化に気付くだろうということで、警察病院から当院へと返されてきた。

診断の難しさ

細胞変性による粘膜病変は診断が難しい。
典型的な臨床像をとるものもあるが、今回のように不定型な様相を呈することもあるからである。
今回は、扁平苔癬を疑ったが、実態は口腔カンジダ症と白板症の二つの病変であった。

個人医院での生検は通常おこなわない、場合によっては穿刺が危険なことがあるためだ。(癌など)
だからこそ、私は引っかかる病変は高次医療機関に回すことにしている。
今回も白板症という、注意を要する病変の発見に至った。
疑わしきは経過観察せず、すぐ専門家に診てもらえるよう取り計らうのも、あるべき歯科医の姿勢だと考えている。

白板症再び 完