糖質を考える・砂糖2

歯垢の存在下では砂糖の摂取により、酸がつくられる。
しかし、人間の歯は酸による脱灰がおこるばかりではなく、修復もおこなわれる。
これを歯の再石灰化という。

一昔前、「芸能人は歯が命」なるCMがあった。
その歯磨き材の売りは、ハイドロキシアパタイトが含まれており、再石灰化を促すというもの。
実は、このハイドロキシアパタイトは唾液の中には大量に含まれている。
それも歯磨き剤とは比較にならないほどに。

口腔内で生まれた酸が、歯を溶解し微小な虫歯を作り出す。
これが脱灰であるが、その微小な虫歯は唾液中のハイドロキシアパタイトという歯と同じ成分で補修されるために、人間の歯は溶ける一方にならないというわけ。
歯が一度しか生え変わらない人間にとってこれは非常に重要。

口腔乾燥症など、唾液が充分にいきわたらないようなケースでは、う蝕が多発する。
また、唾液がいきわたりにくいという点で、上顎は下顎よりう蝕が多い。

では脱灰と再石灰化、それぞれがどのような条件下でおこるのか。
それを分けるのは、酸性度の基準、PH(ペーハー)。
PHは7が中性で、酸性度が上がると1に近づき、アルカリ度が上がると14に近づく。
その少し酸性よりの、PH5.5が境界線。
この境界を境に、脱灰がおこったり、再石灰化がおこったりする。

PHが5.5より酸性寄り → 脱灰

脱灰のイメージ図

 

PHが5.5より中性寄り → 再石灰化

 

これを、砂糖の摂取による口腔内の酸性化、そして唾液の緩衝能による回復を時系列でグラフにすると下のようになる。
このグラフはステファンカーブといい、実証者の名前からとられています。

砂糖の摂取から、PHの変化

ステファンカーブ

砂糖の摂取をしてから口腔内が正常に戻るまで、1時間近い時間を要する。
この間に脱灰はすすむ、そしてその後再石灰化による修復はおこなわれる。
では、砂糖の摂取が断続的におこなわれた場合はどうか。
それが、次のグラフ。

砂糖の断続的摂取

砂糖の連続摂取

Phは戻ることなく脱灰が連続して進行する。
これが、う蝕のすすむメカニズム。
ペットボトルからの飲料のだらだら飲みや、間食をまだんなく食べ続けることでおこる。
とくに、手元にペットボトルをおいて仕事をするプログラマーやドライバーの方に多くみられる。
砂糖の摂取の仕方においては最悪に近い。

砂糖は高いう蝕誘発能を持つ。
とはいえ、摂取の仕方に気をつければ虫歯にはならない。
時間を決めるなど、メリハリをつけた食生活を心掛けたい。

砂糖以外の糖類は虫歯にならないのだろうか。

続きます