恐ろしい合併症

高血圧で怖いのは、高血圧が様々な臓器に影響を与え、合併症を引き起こすこと。
硬化した血管が招く高血圧は、特に血管系の臓器に影響を与え、それを引き金として命にかかわる障害をもたらす。

高血圧の合併症

心臓疾患

動脈硬化するのは、心臓に血液を送っている冠動脈とて同じ。
冠動脈が硬化すると、狭心症(血管の一部閉塞)や心筋梗塞(完全閉塞)などがおこりやすくなる。
心筋梗塞がおこった場合は、即生命にかかわる事態となる。

また、高血圧状態で全身に血を送り出すには、さらなる高圧が要求される。
そのため、全身に血を圧送する左心室への負荷が大きくなり、心室の心筋が肥大する。
肥大した結果、心臓の血液の圧送能力が低下し、結果冠動脈への血流が低下して心不全をおこしやすくなる。

他にも、心臓から血液を送り出す大動脈の、三層の構造の内膜内に血液が入り込み、割けてしまうしまう大動脈解離のリスクも上がる。
動脈硬化により、弾性が失われることに関係する。
割けるチーズのように超軸方向に断裂するため、非常に致死性が高い。

脳血管障害

高血圧が持続的に続くと、脳血管の硬化や狭窄を招く。
その結果おこりやすくなるのが、脳梗塞(詰まる)と、脳出血(脳溢血とも・破れる)などの脳卒中と呼ばれる疾患である。
部位によっては、致死的になりやすく、後遺障害が残る場合が多い。

ろれつが回らない、急に手が上がらなくなったり、動かなくなったら要注意。
即救急車を呼んでほしい。
現在では、梗塞であれば発症4.5時間以内(最近3時間から拡大)に、出血傾向がなければt-PA(トロンボプラスチンアクチベーター)の投与が可能で、血栓を溶解して健常に戻れる可能性がある。
ただしその時間内に家族の同意やCT撮影、搬送時間まで含むので迅速を要する。

腎臓疾患

腎臓は血液の濾過をおこなう器官。
つまり、血管の固まりともいって良い。
高血圧は、この血管群にも障害を与える。
さらに、高血圧により、血圧を司る糸球体のレニン・アンギオテンシン系が亢進するとさらなる高血圧を招いてしまう。
(ここに作用するのが、ACE阻害薬などの降圧薬)
障害がすすむと、腎不全に陥り、人工透析などが必要になってしまう場合がある。

血圧は侮ると大変なことになる
血圧測定

続きます