近年、中国の台頭が著しい。
名目GDP(国民総生産)はUSドルベースでアメリカに次ぐ世界第二位。
世界の工場ともいうべき状態だ。

豊かになったとはいえ、まだまだ人件費は比較的安いため、工業製品を含む多くのものが世界に輸出されている。
医療機器も、もはや中国が主役。
中国自体が巨大な市場であるため、各国の医療機器メーカーが中国でOEM生産し、その一部を海外に輸出する。
歯科医療機器も、欧州・日本のメーカーのブランドで、中国で作られたものが非常に多い。
逆に、中国では欧州製・日本製の機器が人気。
日本に輸入される際には、生産工場も含め厳しい審査が課せられる。
医療機器には。

中国で生産されるのは、医療機器以外にもおよぶ。
医療機器だが、医療機器でない。
その中に、歯科技工物がある。
歯科用金属である、インレーやクラウン、ブリッジ。
入歯やマウスピースなど。
私たちのお口の中で機能する医療用品だ。

ところが、これらの技工物は一切チェックされることがなく、通関してくる。
医療機器などではなく、雑貨として。
厚生労働省令では、歯科技工物は医療機器と定められているのにもかかわらず。
民主党政権以来、厚生労働省は、歯科医師等が個人輸入したものとして黙認している。
一応、建前として中国生産ということは患者に通知しましょうと通達している。
しかし、それを開示している歯科医院を私は見たことがない。

厚生労働省は近年、薬事法の強化をすすめ、様々な分野で規制の強化をおこなった。
歯科材料や金属は医療品と定められており、厳しい規定がある。
しかしながら、本来医療機器として定められている完成技工物に関しては、国外では適用ではないという。
技工士会が問題提起したが、技工士法は国内でしか適用されないため、法的な問題はないという。
厚生労働省が医療機器として定めているものが、入国する際には雑貨としての扱いを受けている。

中国製で問題になっているのは、安全性。
金属を使用した技工物からは、作製を容易にするために用いる毒性のあるベリリウムが検出された。
義歯からは、基準値を大幅に上回る鉛が検出されている。
しかしながら、雑貨として入ってくるために一切の検査は行われていない。
完全に無法地帯となっている。

続きます。