口腔に症状がでる耳鼻咽頭疾患・前編

扁桃炎

扁桃(口蓋扁桃)はのどの左右両側にあるリンパ器官。
口や鼻から侵入した病原体に対する関所のような役割をしている。
この扁桃が細菌などに感染をしたのが、扁桃炎。
つばを飲み込むとき痛んだり、のどの痛みや発熱を伴う。

口蓋扁桃
口蓋扁桃

扁桃炎がこじれると、扁桃周囲膿瘍となり、扁桃周囲に膿がたまった状態となる。
ここに至ると、症状は咽頭にとどまらなくなる。
開口障害や耳の前の痛み、咽頭部の痛みで食事ができなくなる。
切開しての排膿が必要。

口が開きにくくなることもあり、歯科へは親知らずの腫れと混同し来院となる。
この部位への加療は歯科領域から外れるため、耳鼻咽喉科へ紹介となる。

アデノイド肥大

鼻腔の奥にあるリンパ器官であるアデノイドは(咽頭扁桃)、口蓋垂(のどちんこ)の裏側にある。
2歳ぐらいから肥大が始まり、小学校入学前にピークを迎え、その後は徐々に小さくなっていく。
何らかの原因で、このアデノイドが大きくなりすぎることを、アデノイド肥大という。
基本的には炎症の繰り返しによることが多い。

肥大したアデノイドは鼻からの気道を圧迫する。
その結果、呼吸は口呼吸が中心となるため、歯科領域に様々な影響を及ぼす。

アデノイド・口蓋扁桃の位置
アデノイド解剖学的位置

虫歯

口呼吸は、口腔乾燥に直結するため、う蝕リスクがはねあがる。
唾液には、軽微なう蝕の修復能があるためであり、それが実質失われがちになる。

アデノイド顔貌

口での常時の呼吸は、口周りの筋肉の弛緩をまねき、緩んだ顔つきの顔貌になる。
また、呼吸しやすい下顎後退位を取りやすく、顎が小さく上の前歯が突出した、いわゆるアデノイド顔貌になりやすい。
アンガールズの山根さんをイメージしてもらえるとわかりやすい。
場合によっては歯槽骨の手術を含む大掛かりな矯正の対象になることもある。

アデノイド肥大は学童期に症状が出やすい、つまりそれは成長期でもある。
骨格が完成してしまう前であれば、アデノイド治療によりアデノイド顔貌が避けれる可能性がある。

睡眠時無呼吸症候群

アデノイド顔貌が完成してしまうと、下顎後退位ゆえに、簡単に舌根沈下をおこし睡眠時無呼吸症候群をおこしやすい。
学童期などでも、大きないびきなどをかいていたら要注意。
眠りが浅くなりがちで十分休息をとれていない状態に陥りがちなので、成長の妨げとなることがある。

治療

耳鼻咽喉科での、手術による切除がメイン。
学童期に成長に伴い症状が緩和されてくる場合には、そのまま経過観察とする場合もある。

続きます