歯自体の色の変調
歯自体の色を白くする、本来の意味でのホワイトニングである。
ホワイトニングを名乗るものは数あれど、歯科医院でのみ施術可能。
そのメカニズムから、海外では当初ブリーチング(漂白)といった。
メカニズム
歯科でおこなう、ホワイトニングのメカニズムは、漂白そのもの。
いわゆる酸素系漂白剤である。
薬剤としては、過酸化水素と過酸化尿素のいずれかが用いられる。
いずれの薬剤も、反応性の高い状態の(ラジカルな)酸素を遊離する。
これが歯の内部深いところまで浸透し、歯質内部の着色色素の二重結合を切断し、低分子化して脱色する。
ラジカルな酸素ゆえに、遊離基が二重結合と反応するというわけ。
まさにブリーチングである。
漂白的なホワイトニングが、ステイン除去と違うのは、物理的な汚れの除去でなく、化学的な色素の分解であること。
化学反応であるがゆえに、化学反応を促進させる要素をコントロールすることで、ホワイトニングの時間や強さを調整できる。
それが、医療機関でのホワイトニングのバリエーションとなっている。
適応
ホワイトニングは歯自体の色調を変えることであり、年齢に関係なくおこなえる。
問題となるのは年齢ではなく、歯の状態。
ひびが入っていたり、知覚過敏がある場合は、歯がホワイトニング後に重度の知覚過敏に移行してしまうため。
同様に虫歯がある場合にも、刺激で歯髄炎を誘発してしまうことがある。
また、歯の色は変えれても、歯質ではない詰め物や、かぶせものは変色しない。
よって、白くしたい歯に樹脂の詰め物があったり、歯列に白いかぶせものがある場合は、その部分は白くならずに元の色が残ってしまう。
できればホワイトニングをするときは、治療が開始される前に歯科医に伝えておき、ホワイトニングをおこなってから、白くなった歯質に合わせて詰め物やかぶせものを入れる方が良い。
もともと詰め物がある場合は、ホワイトニング終了、詰めなおすことも検討すべき。
また、ステイン除去も先駆けてやっておく。
ステインが付着しているところが、薬剤の浸透を妨げられることで、漂白されずにムラになるためである。
テトラサイクリン歯は重度のものは適応外となる。
重度でなくても、全体的に明度がかわることで、逆に目立つようになることもある。
重度のテトラサイクリン歯・ホワイトニングは難しい
歯周病の場合は、歯肉低下による象牙質の露出があり、知覚過敏が誘発される可能性が高い。
ところが、多分に経験的ではあるが、ホワイトニング履歴のある患者は、その後の歯周組織の状態が良好。
歯への意識が高くなることで、清掃状態が良好になるのも原因であろう。
それ以上に歯肉の縁下組織の嫌気性細菌が、ホワイトニング材のラジカル状態の酸素で一掃されているような感がある。
歯周病で問題になる嫌気性細菌は、酸素のある状態では生きられないためである。
続きます