歯周病治療の基本概念
感染症と歯周病
歯周病は感染症である。
しかし、私たちがイメージする感染症とは、異なる。
病原体の存在 ≠ 感染
通常の感染の概念
例えば、結核。
結核菌が体内から検出されれば大ごとだ。
結核菌の存在 = 結核の感染 となる。
この時点で、結核の化学療法をおこなわなくてはならない。
歯周病の感染の概念
歯周病にかかわる細菌は、実は常在菌。
普通に生活している人間の口腔内に普通に存在する細菌である。
つまり、歯周病の症状が皆無の人間でも、歯周病菌は検出される。
歯周病は、細菌の有無が感染を意味しない。
常在菌のうち、歯周病にかかわる細菌が、口腔の不衛生や抵抗力の低下の結果、歯周組織の破壊をおこすのである。
破壊され、深くなった歯周ポケットと、周辺歯槽骨の後退の度合いにより歯周病の重症度を決定する。
つまり、歯周病の感染とは、歯周組織の細菌による破壊を示す。
要は
歯周病菌の存在 ≠ 歯周病
歯周組織の破壊 = 歯周病
歯周組織の破壊像・この場合は歯周病
歯周病菌の感染のみでは治療の必要がなく、歯周組織の破壊は治療を要する。
病原体の存在 ≠ 感染 というのが歯周病の感染の概念なのだ。
続きます。