熱中症とは

熱中症の診断基準

熱中症の諸症状

日本救急医学会の分類の前に、熱中症における症状をあげる。

強い発汗・強い口渇感・筋肉痛・こむら返り
めまい・失神・生あくび・頭痛・倦怠感・虚脱感
意識障害・嘔吐・けいれん・せん妄・高体温・小脳失調

などが、暑熱環境にいる、もしくはいた後におこった場合、熱中症の診断基準となる。
以前は、熱中症はこれらの症状をもとに、熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病に分類されていた。
しかしながら、症状にとらわれて病状を過小評価してしまう事例が頻発したため、新しいガイドラインでは重症度による分類となった。

日本救急医学会熱中症分類

Ⅰ度

旧分類としては、熱けいれん・熱失神と呼ばれる。
現場で対応できるレベルの熱中症である。

症状としては、
大量の発汗・立ちくらみ・めまい・生あくび・こむら返りなど。
意識障害を認めない。

対応として、水分・塩分の経口補給、冷却、安静。
これらの対応により徐々に改善がみられる場合は、このまま経過観察。

Ⅱ度

旧分類としては、熱疲労にあたる。
医療機関での診察・対応が必要なレベル。

症状としては、頭痛・嘔吐・虚脱感・倦怠感・判断力の低下など。
このレベルで経過観察にしてしまい、Ⅰ度の対応すらとらないことが重症化を招く。
虚脱感・倦怠感というのは、熱中症としては深刻なレベル。

対応として、医療機関における体温管理・安静・経口補水で補いきれない場合は輸液で水や塩分を補充する。

Ⅲ度

旧分類では熱射病(三主徴として、意識障害・体温40度以上・発汗停止)。
入院加療が必要なレベル。

症状としては、意識障害・小脳症状・けいれん発作などの中枢症状。
肝臓・腎臓の機能障害。
DICなどの血液凝固異常などがある。
とくに血液凝固異常が生じた場合は、重症化のレベルとしては極大。
いずれも、高温により臓器の不全が発生する段階で、生命に危険が生じる。

対応としては、医療機関で体温(体表だけでなく体内も含む)・呼吸・循環の管理が必要である。
重症の場合は集中治療室での加療が必要。

熱中症対策

診断基準と現実の乖離

現在、報道で多くの搬送患者が報告されている背景には、一般市民の熱中症の重症度の判断が現実に即していないことにある。
特に、教育の現場における、集団熱中症はその典型であろう。

熱中症の発生頻度は、気温のみならず、湿度が多いに関係する。
同じ気温でも、湿度が高いほど熱中症の危険度は高い。
湿度と温度の相関を示す計測に、湿球温度と乾球温度があるが、これらの指標が教育の現場などで実際に使われている様子はない。
それどころか、気象予報の熱中症指数すら省みられず、運動やその他の学校活動に生かされていないありさまである。

教育の現場は、可能な限り速やかに熱中症対策ガイドラインに即した活動方針を設定すべきである。
それが満足におこなわれないようであれば、父兄の判断で自主的に休校などの自主防衛に努めるのも良いかもしれない。

続きます