糖質系代替甘味料 前編

糖質系甘味料は砂糖(ショ糖)や、二糖類、オリゴ糖などの少糖類も含まれる。
これらについては、虫歯の原因の項でのべた。
糖質系代替甘味料として、ショ糖を構造的に改造した誘導体。
さらには、ショ糖などの既存の糖質を水素で還元した糖アルコールがある。

イソマルツロース(商標名:パラチノース)

イソマルツロースショ糖の結合の仕方を変えた二糖類の一種。
甘味はショ糖の40%ほど。
天然にはハチミツに微量に含まれる。
抗う蝕性があり、酸産生能、不溶性グルカン産生能はないどころか、抑制能をもつ。
1986年にロッテから「NOTIME」という名前の歯磨きガムが発売されていたのを、覚えてらっしゃるかたもおられるかもしれない。
カロリーは砂糖と同等だが、ゆっくり分解されることからインシュリン刺激性が低く、代用糖として用いられる

カロリー あり う蝕誘発性 なし インシュリン刺激性 なし

トレハロース

デンプンを微生物由来の酵素で構造変化させた二糖類の一種。
甘味はショ糖の40%ほど。
微小動物の血糖であり、キノコ類にも多く含まれる。
カロリーは砂糖と同等。
長く量産が不可能とされていたが、岡山市を拠点とする林原という企業が、デンプンを基に量産技術を確立。
その技術の開発秘話は非常に面白い(こちら→林原ホームページ
イソマルツロース同様、抗う蝕性があり、酸産生能、不溶性グルカン産生能はなく、抑制能をもつ。
医薬品としての研究もすすんでいる。

カロリー あり う蝕誘発性 なし インシュリン刺激性 なし

トレハロースの入っているスポーツ飲料
トレハロースのスポーツドリンク
トレハロース飲料の成分表示

スクラロース

ショ糖の水酸基のうちの3つを塩素に置換した構造を持つ二糖類の一種。
甘味はなんと、ショ糖の600倍。
天然には一切存在しない。
水に易溶解性で、化学的に高い安定性・長期保存性を誇る。
消化・吸収・代謝されないため、ゼロカロリー。
う蝕誘発性はなし、酸産生能・不溶性グルカン産生能なし。
全く吸収されないため、血糖値やインシュリン刺激性への影響はない。
日本では1999年に食品への添加が認められた、新しい甘味料だが、今や用途は広い。
塩素化合物のため、発がん性や毒性が懸念されるも、現在までにエビデンスのある報告はなし。
ところが塩素化合物ということで、不安をあおるようなジャンクサイエンス(ニセ科学)の温床になっている。

カロリー あり う蝕誘発性 なし インシュリン刺激性 なし

続きます