糖類はブドウ糖や果糖などの小さな分子構造が、複数集まってできるものがある。
二つなら二糖類、十個程度までなら少糖類、それ以上を多糖類という。

少糖類

小糖類の別名は、オリゴ糖。
健康食品などでしばしば耳にする糖類である。
オリゴ糖は多くは単一の物質ではなく、いくつかの種類の小糖類が混合物であることが多い。

小糖類は、1970年代以降、砂糖やでんぷんを原料に、微生物に由来する酵素等を用いて生産されるようになった。
もともとは、腸内の健康維持にかかわるビフィズス菌の増殖因子として研究され、発見に至った経緯がある。

イソマルゴオリゴ糖

イソマルゴオリゴ糖はブドウ糖がいくつか結合してできた少糖類の混合物。
甘みは砂糖の40~50パーセント程度。
水分保持能力にも優れ、耐熱性も高い。

分解するための酵素を持つものがそんなには多くないことが、この糖の有益性を高めている。
ヒトの小腸で部分消化されるが、唾液や胃では消化されない。
多くは大腸まで届き、ビフィズス菌の餌となり、増殖を助ける。
ビフィズス菌はしっかり利用できるが、他の菌は部分利用しかできない場合が多い。
これが、オリゴ糖が腸に良いとされる理由。

パンに入れることで、製造時の発酵には利用されずに残る。
残った糖がパンに甘みを加え、水分保持性能によりしっとり感が持続する。
また腐敗にかかわる細菌が利用できにくく、日持ちが良くなる。
同様の理由で、和菓子などの水分を含む食品に加えられる。

口腔内において、酸の産生能は弱いながらもある。
不溶性グルカンの合成能はないばかりか、砂糖と混ぜることで、砂糖のう蝕誘発性を抑制する。

スーパーなどにも売っている。
価格はシロップ1キロで四百円ほど。
砂糖の代わりとしたり、砂糖の補助として使ってみると良いだろう。

イソマルゴオリゴ糖
市販のオリゴ糖

オリゴ糖製品の成分表示

グリコシルスクロース

グリコシルスクロースは、商品名カップリングシュガーといい、虫歯予防のため日本でつくられた。
砂糖にさらにブドウ糖を結合させた少糖類の混合物で、未反応の残存砂糖を含む。
甘みは砂糖の40~50パーセント程度。
ノンカロリーではない、砂糖並みにある。

砂糖や水飴のかわりとして利用されている。
カラメルにした砂糖のような変色が少なく、水飴よりしっとりしているので用途は広い。
また水分保持性能も良好。

口腔内では、残存砂糖を取り除いたものについては、う蝕誘発性はない。
酸産生能がないためである。

多糖類

多糖類は、我々がエネルギー源、資源として利用する最たるもの。
代表は、でんぷんやグリコーゲン、セルロースなど。
他にもエビやカニの甲羅の成分のキチンも多糖類。

でんぷんは言うまでもなく、筋肉に蓄えられるグリコーゲンは重要なエネルギー源。
お菓子のグリコはこれが語源。
植物の構成体の炭水化物のセルロースは、人には消化酵素がなくエネルギー源にはならない。

でんぷん

でんぷんは多数のブドウ糖が結合した構造。
米や小麦の主成分。
でんぷんは唾液に含まれるアミラーゼでも分解され、麦芽糖、ブドウ糖になる。
ブドウ糖を細菌が利用できるため、酸産生能を有し、う蝕誘発性をもつ。
とくに、歯周ポケットの免疫力の低下している高齢者では、根面う蝕の原因と考えられている。

糖類も種類によって、虫歯の原因になったり、ならなかったりする。
上手に使うことで、我々の健康に大きく貢献することができる。
日常の食生活を見直す一助となれば、幸いである。

虫歯の原因 完