糖質を考える・その他の糖

砂糖はブドウ糖と果糖からなり、高いう蝕産生能を持つ。
では他の糖類ではどうなのか。

ブドウ糖

まず、ブドウ糖単体。
甘みは砂糖の約60%。
全ての生物のエネルギー源で、代謝にインシュリンを必要とする。
酸の原料となるので、う蝕誘発性はあるが、不溶性グルカンはつくられない。
スポーツ飲料他、甘味料として用いられる。

果糖

次に、果糖単体。
甘みは砂糖の1.5倍。
代謝の際にインシュリンを必要としないので、糖尿病患者の甘味料として使用する。
酸の原料となるので、う蝕誘発性はあるが、不溶性グルカンはつくられない。
あまい果実や、はちみつに含まれる。

おもしろいことに、ブドウ糖・果糖単体では不溶性グルカンはつくられないが、ブドウ糖と果糖の結合体である砂糖ではつくられる。
スポーツ飲料などを選ぶ基準として活用されたい。

アクエリアスゼロの成分表示 果糖が甘味料として使われている

スポーツドリンクの成分表示

乳糖

乳糖はブドウ糖とガラクトースが結合してできた二糖体で、哺乳類の乳汁中に含まれる。
甘みは低く、砂糖の20パーセント以下。
う蝕誘発性に関しては、意見が分かれる。
う蝕を誘発するという説もあれば、試験管レベルでう蝕はあっても、臨床的には問題ないという説も。
おやすみ前の牛乳の是非にかかわる議論の源。
乳酸発酵により酸産生される。

日本人には乳糖不耐症の人が多い。
かくいう私もそうである。
大人になるにつれ、乳糖を分解するβラクターゼの活性が下がるのが原因。
分解されないまま腸に移行した乳糖が、高浸透圧により周辺組織から水分を引き出すため、下痢をする。
ナメクジに塩をかけると、水分を引き出して溶けてしまうのと同じ原理。

実は乳糖不耐症は自然の摂理。
哺乳類の成獣が、幼獣のエネルギー源である母乳を横取りしないよう、βラクターゼの活性を成長とともに下げるためといわれている。
しかし、不耐症でない人は、大人になってなお乳糖を摂取し続けることで、βラクタマーゼの量が何千倍にも増加する。

麦芽糖

麦芽糖は、ブドウ糖が2つ結合してできた糖。
甘みは砂糖の30パーセント程度。
う蝕誘発性がある。
水飴はこれが原料。

この麦芽糖に水素添加したものが、還元麦芽糖。
甘みは砂糖の80%程度にまで上昇。
う蝕誘発性、カロリーは逆に低下する。
ノンシュガーのキャンディーはこれが原料。

ノンシュガーキャンディーの成分表示 還元水飴(還元麦芽糖)の文字が

ノンシュガーキャンディーの成分表示

続きます