自然あふれすぎる北大

祝日などに書いているこのシリーズ。
今回は、都会のオアシスというには、いささか大自然すぎる北大校内について。

北大の札幌キャンパスは広大だ。
何と大阪城公園の1.7倍、東京ドーム38個分にもおよぶ。
この広い敷地が、200万人をこえる人口を有する札幌圏のど真ん中に存在するのだ。
しかも、正門までは札幌駅から5分ほど。
日本の多くの大学が、郊外に移転する流れになって久しいが、北大だけは昔と変わらずそこにあり続ける。

北大のメインストリート
メインストリート

北大には、川がある。サクシュコトニ川といい、校内に源流を発する。
札幌は、石狩川水系豊平川の巨大な扇状地のある。
扇状地では、いったん水脈は地下に潜るが、扇端と呼ばれる扇状地の末端では、再び水脈が顔を表し、水が湧き出る。
かつて、北大校内にこのようなものがあった。
あったと過去形なのは、すすきのや大通り周辺の開発のため、水脈が切られてしまったため。
かつてはサケが遡上していた。
今は人工的に旧河道に水を流している。

中央ローン

正門からメインストリートに至るまでの間は、川を中心とした広い芝生の空間。
数百メートル以上の長さを持つ、公園以上に公園。
樹齢100年をはるかにこえる、開拓時代前からの樹木が多く残っている。
ここで札幌市民が、絵をかいたり、昼寝したりと市民の憩いの場になっている。
残念なことに2004年の台風で結構な数の木が倒れてしまった。

中央ローン
中央ローン

原生林

何と北大には原生林が存在する。
旧教養の裏の方に広がっている。
原生林は昔ながらの湿地であり、春になると水芭蕉や北大の校章であるエンレイ草が花をつける。
私は一度キタキツネを見たことがある。
今はいるのかわからないが、暗い原始の森だ、他にも多くの生き物が住んでいる。

原生林から少し離れた恵迪寮周辺には、フキが多く群生し、6月には業者がそれを刈り取りに来る。
寮生は決して食べない。
窓から飲みすぎて吐いたり、放尿するものがいるからだ。
そのおかげか、非常に大きくて立派。
なお、原生林には天然のゴボウまで生えている。

原生林の中を通る道
原生林

農場

北大の広大な敷地の中でも、特に広いのが農場。
開拓時代から続く、クラーク先生以来の、札幌農学校の後裔たる農学部があるからである。
試験農場では広大な畑や、牧場まで広がる。
気持ちよさそうだからとうっかり入りこもうとすれば、牧畜用の電柵があったりして痛い目に会いかねない。

北大の農場(のごく一部)
北大農場

札幌のど真ん中で農業試験や実習をやる必要があるのかはともかく、東西方向に大きな交通の障害になっているのは確か。
そのため、2000年ごろ6車線を有する巨大なエルムトンネルが掘られた。
それまでは、教養北の横断道路は毎朝えらい渋滞であった。

巨大なエルムトンネルの入り口
エルムトンネル

ひょうたん池

理学部の北には、我々がひょうたん池と呼んでいる池がある。
ガマや色んな水棲植物がはえるきれいな池である。
周りは遊歩道化されている。

川の一部が流れ込むこの池には、カモがやってきて子育てをしていた。
親鳥とひよこのカモたちが、池の横のメインストリートを横断しているのを見たことがある。
他にも多くの鳥たちがこの水辺にやってくる。
授業を抜け出してくつろぐにはうってつけの場所だった。

かつてはこのまわりでよくジンギスカンをしていた。
ところが酔って飛び込む学生が後を絶たず、池の周囲でのジンギスカンは禁止となった。

のどかなひょうたん池。かつては酔っ払いのダイビングスポット
ひょうたん池

また休みの日にでも続きます。