熾烈なる部活勧誘

新入生が入ってくると、北大は異様な雰囲気に包まれる。
将来の部活の運命がかかる、新入生の勧誘である。
この時ばかりは、普段活動が鈍い部活も、必死になる。
部活リクルートシーズンの始まりだ。

歯学部の部活

部活は全学といって、大学共通の体育会に属するものと、歯学部医学部のように6年制の学部に属するものとがある。
全学は本気の部活で厳しく、またインターハイ経験者などがごろごろいたりとレベルも高い。
歯学部医学部は学年が上がると実習が多いため、かなりの制約を受ける。
そのため、ゆるく長くといった部活で、学生大会も医科歯科ごとにそれぞれ開催されている。
多くの医科歯科の学生は、やはりこちらの部活に所属することが多い。

私はというと

私は、学校が始まる前にボート部でボートを漕ぎ、学校が終わった後はバレー部に属していた。
比較的ゆるい歯学部の部活だからできたことだ。
もっともボート部は、つぶれそうだから1年だけ手伝って、と言われた同期4人が結局卒業まで居残ったといういきさつがある。
スノーボードはヒマな冬場、個人でやっていたのだが、歯学部で一番うまかったので、なぜか強制的にスノーボード部員ということになっていた。
まあ、このようなゆるい感じが歯学部の部活の良いところ。

私が新入生の時、ボート部に見学行った時の写真。後ろ左から3番目が若き日の私
ボート部写真

最初の勧誘

入学後のオリエンテーションのおこなわれる教養棟へ至る道には、いろんな部活やサークルの上級生たちが勧誘チラシを配るために花道をつくっている。
ここを通ると、ああ、大学に合格したんだという実感が感じられる。
一学年2000人を超える学生のいる北大だ、部活やサークルも山のようにある。
楽しい学生生活を謳歌するには、やはりこのような人と人のつながる場があった方が楽しい。

一番最初の全学オリエンテーションが終わるな否や、待機していた上級生たちがなだれ込み、クラスのメンバーに自己紹介させる。
名前、出身その他もろもろ。
特に重要なのは、高校の時の部活。
自分の部活の経験者はもちろん、体力のありそうなのや、面白そうな新入生は要チェック。
自己紹介が終わるな否や、上級生が勧誘のチラシをもって突撃する。
とりあえずは、部活の見学に来てもらうよう約束を取り付けるためだ。

その後も歯学部の学生が集合する授業を時間割でチェックしておいて、手の空いた上級生が勧誘に向かう。
主に勧誘に向かうのは、比較的ヒマな2年生。
興味のあるのもないのも含めて、部活の練習に来てもらえるよう猛烈にプッシュする。

部活見学

部活の見学に来てもらえたらこっちのもの。
楽しくミニゲームをしたり、お客様扱いは忘れない。
練習後は、歓迎会と称して、近くの居酒屋などに大挙していく。
私のいた歯学部のバレーボールは特に飲み会が激しく、酔わせて入部宣言させるように持っていくことが非常にうまかった。
その甲斐あって、歯学部最大の部活になったのだが、肝心のバレーはというと、非常に弱かった。
まあ、非常に楽しい部活ということで、みんな楽しく学生生活をおくれたのである。

5月の連休明けぐらいには、だいたい新入生も部活に入り、新入生歓迎会がおこなわれてひと段落となる。
私の同期の某部活では、マネージャーの勧誘に精を出しすぎて、肝心の新入生の入部がゼロという大失態を犯したところもあった。

現在は、歯学部の一学年が50人ほどに減り、部活の存続がなかなか大変なようだ。
そもそも、新入生に酒を飲ませて、といったこと自体が問題視される時代である。
後輩たちが楽しく部活を存続させてってくれることを願ってやまない。