インフルエンザの対処法・前編

インフルエンザはウイルス性疾患。
よっていくら強力な抗生物質でも全く効果はない。
抗生剤が効くのは、細菌のみ。

予防接種

インフルエンザに対抗できる最大の手段は、ワクチン。
変異を続けるウイルスゆえ、100%の効果は望めないものの、7~8割の人に効果がある(年によって異なる)。
また、罹患をしても、症状がワクチンを打たなかった場合に比べ軽く、早く治るという効果がある。

日本におけるインフルエンザのワクチンは、不活化ワクチン。
ウイルスの構造の一部を抗原として利用するものであり、それ自体には感染性はない。

毎年今後流行するであろうウイルスをいくつか予想し、それに応じた抗体をつくれるようワクチンが製造される。
通常日本では4つの病原株に対するワクチンで、4価ワクチンと呼ばれる。
何年か前、ワクチン不足に陥ったのは、予想される抗原のうち一つがうまく量産できなかったため。
結局、その抗原を除いた3価ワクチンを生産したのだが、初期の遅れを取り戻すことができず、ワクチン不足に至った。

ワクチンの製造は、鶏卵でおこなわれる。
ウイルスが培養できるのは、細胞内のみ。
巨大な細胞である鶏卵をウイルス感染させて、培養する。

ワクチンはうつな、のウソ

毎年この時期になるとわいてくるのが、ワクチン不要論。
ワクチンの有用性は、統計学によるもの。
ワクチンを打たない群と、打った対照群では、明らかに感染率や、その後の合併症などのリスクを減らすことができるため。
サプリメントの広告の「個人の感想です」とは比べ物にならないエビデンス(根拠)と効果がある。

ワクチンを打ったけどかかった、というのは、インフルエンザ以外の感冒性疾患などは山のようにあるし、かかったとしても本来よりはるかに軽癒している場合も多い。
その点を精査せずに、医療の議論にのせるなどということは、医療を論じる上では片手落ちである。
インフルエンザワクチンの有効性は、今もきちんと追跡され、分析され続けているのだ。

ワクチンの安全性

健康な人は、ワクチン接種後微熱が出る場合がある。
これは、正常な免疫反応として、発熱により異物を殺そうとする正常な反応。

鶏卵を利用して作られているため、卵アレルギーの人はワクチンを打てない。
これが、学校での集団接種から外され、任意接種になった原因。

おこりうる疾患としてギランバレー症候群がある。
これは、抗体を過誤して(もし、インフルエンザワクチンと関連があるなら、おそらく有髄神経と抗原が複合体を形成するなど)、人間の有髄神経をターゲットとする自己免疫ができてしまう症候群。
神経障害を原因とする麻痺を呈する。
予後は重篤でない場合がほとんど。
そもそも、他のウイルス感染などでも起こりうる障害で、ワクチンとの明確な関連は不明とされている。

いずれの場合も、打つ方の利益が打たない方の利益を大きく上回るため、ワクチンを打たない方が良いとする根拠にはなりえない。
インフルエンザは重症化し、死に至る身近ながらも重大な感染症である。
若くても重症化するときはしてしまう恐ろしい病。
ワクチンの恩恵は計り知れないのだ。

ワクチンの恩恵はマイナス面をはるかに凌駕する
ワクチン接種

続きます