根管充填

無菌化・無症状化した根管は、感染を防ぐため封鎖する必要がある。
これを、根管充填という。

根管充填の条件

出血・排膿・浸出液等が根尖から漏出がみられず、なおかつ自発痛や打診痛などの臨床症状がみられなくなったときに充填をおこなう。
ただし、抜髄後の根管充填処置が事情により長期間おこなえない場合は、即日でおこなう場合がある。
ただし、充填後に打診痛などがあらわれ、長引く場合が多いので滅多におこなわない。

根管充填の手法

材料

主に使われる充填剤は、天然ゴム由来のガッタパーチャーである。
棒状に成形されたものや、熱で軟化させるものなどがある。
レントゲンで造影できるよう、酸化バリウムなどが配合されている。

根管充填材料は各メーカーがいろいろなものを開発したが、ガッタパーチャーにとってかわるものはいまだあらわれていない。
他院のポリプロピレン充填で予後不良で再治療したことがあったが、硬すぎるため緊密には充填されていなかった。

セメント系材料考察

最近では、MTAセメント、一昔前だと根管充填用スーパーボンドなどのセメント系充填剤・充填補助剤もある。
私はこれらのセメント系充填剤には否定的である。

セメントは硬化するので、何らかの問題があった時除去が不能となる。
確かにうまくいった時に、最高の物性があるのはわかる。
とはいえ、医療に絶対はなく、しかも根管治療は何かとトラブルが出やすい治療。
根管治療を専門としてきた私でも、絶対はありえない。
前に述べたように根管は複雑、絶対に術者の手の届かない部位が存在することがある。
成功前提で物事をすすめるのはいかがなものか。

手技

側方加圧充填

棒状に成形された、ガッタパーチャー製のマスターポイントを、シーラーと呼ばれる接着封鎖材をつけ、根管の太さに合わせて挿入する。
それを先のとがったテーパー状のスプレッダーと呼ばれる器具で、垂直に加圧することで側方に押し付けていく。
できた隙間に細めのアクセサリーポイントという、ガッタパーチャーを入れさらに加圧する。
これを繰り返して、緊密に充填する。
多くの歯科医療機関でおこなわれている、中心的な手法。

ガッタパーチャーポイントとプラガー
根管充填用の材料

シーラー
根管充填用シーラー

垂直加圧充填

加熱して軟化したガッタパーチャーを、根管内に加圧充填する手法。
湾曲根管に主に用いる。
側枝や分岐にもある程度は入ってくれる。
加圧が不十分であると、十分に入っていかず、過加圧では根尖外に漏出して痛みが出る場合がある。

私は側方加圧充填をメインに、必要があれば垂直加圧充填をおこなっている。
両方を組み合わせる場合もある。

根管充填後

根管充填した後は、レントゲン写真撮影をおこない、過不足無いか確認を行う。
これで根管充填は終了し、一連の根管治療も終わりとなる。

続きます