いったい糖尿病とはどんな病気なのだろうか。
一言でいうと、膵臓からのホルモンであるインスリンが不足し、血液中の血糖(ブドウ糖濃度)のコントロールが効かなくなる疾患である。
尿中に必要な血糖が流出するという感じではなく、有り余る血液中の血糖が尿を通して破棄されているというイメージ。

血糖低下に働くインスリンは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞でつくられる。
血糖値を下げる唯一のホルモン。
インスリンは血糖の細胞への取り込みを促進し、その結果として血液中の血糖濃度の低下させる。
つまり、インスリンがなければ細胞は、血中にどんなに血糖があふれていても、飢餓状態になってしまう。
インスリンが不足しておこる場合と、インスリンは足りていてもインスリンの作用に応えられない(インスリン抵抗性)タイプとがある。

まず糖尿病は1型、2型と二つに大別される。(妊娠糖尿病は今回は省く)
1型糖尿病はほとんどが自己免疫疾患で、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が何らかの原因で、免疫のターゲットになってしまう疾患。
結果として、β細胞が消失してくると、インスリンが不足してしまう。
生活習慣とは関係を持たない。
若年性の糖尿病はほとんど1型で、インスリンを注射することで生命を維持することができる。
細胞が利用する血糖を、うまく取り込めないのが問題で、不足するエネルギーを別の経路で調達するために特有の障害がおこる。
1型糖尿病に独特の症状としては、血糖を用いないケトンによるエネルギー代謝が体内でおこなわれる結果、ケトンにより血液中のPHが酸性に傾くケトアシドーシスという状態を発症する。
体内の恒常性が消失しているため、最悪死に至る。

2型糖尿病は 生活習慣病。
糖尿病全体の約9割を占め、全国での罹患者は700万人、予備軍を含むと2000万人に達する。
2型糖尿病の原因は肥満、進行した結果膵臓がへたってインスリン分泌量が低下したり、インスリン抵抗性が増大したりすることでおこる。
高濃度の血糖は、血糖がタンパク質に結合しやすい性質から、毒性を有する。
有毒性の主なターゲットとして、血管がある。

特に微小血管は、高血糖の影響を受けやすい。
高血糖状態が長く続くと、血管は傷つけられたり、閉塞したりする。
その状態が数年続くと、微小血管に依存している臓器に障害が出てくる。
これが糖尿病慢性期合併症と呼ばれる状態。
糖尿病慢性期合併症の三大合併症として、糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症がある。
これらの疾患は、多発神経障害や、失明や視力低下、腎機能低下による透析の必要などをもたらす。

大血管障害は、脳梗塞、心疾患、動脈硬化など。
足の切断などは、閉塞した血管が組織を壊死させてしまうことが原因でおこなう処置。
神経障害で感覚が鈍くなっているうえに、免疫システムが弱くなっているので壊死の発見が遅れることでおこる。

糖尿病の病態は、多くは血管がかかわっている。
血管の病といってよいほど。
この恐ろしい病に、実は歯周病がかかわってきていることがわかってきた。

続きます