水ぼうそうの再帰感染

水ぼうそうの原因ウイルスであるヘルペスウイルス、VZV。
水ぼうそうが治っても、VZVは神経節に潜み続ける。
ところが初感染から時がたち、VZVへの免疫が弱くなってくると、体力低下時などにVZVが再帰感染(再発)する。

一度かかると二度とかからないといわれる水ぼうそうであるが、水ぼうそうとしては再発はしない。
その代わりに、帯状疱疹と呼ばれる厄介な症状で、再びVZVは姿を現す。
発症年齢は50代以上が半数以上を占め、その罹患者数は年々増加している。
発症するのは、VZVキャリアの5~6人に1人ぐらいの割合。

帯状疱疹は一度発症すると、再び強い免疫を得るため、二度とかからない場合が多い。
複数回帯状疱疹を発症する確率は、6.4%との統計がある。(宮崎環境衛生研究所のデータ)
これは、加齢や体力低下などによる免疫力の低下のためである。

帯状疱疹とは

帯状疱疹の症状は、痛みと発疹。
症状が出ると、水ぼうそうと違い非常に苦痛を伴う。
まずは発疹について解説する。

発疹

発疹の出方は非常に特徴的。
潜伏している神経節を出たVZVは、知覚神経をたどり皮膚にたどり着き発疹を発症する。

知覚神経には支配領域がある。
VZVが再帰感染した所属神経節の支配領域のみに、症状が現れる。
そのため、発症した神経節の支配領域にそって発疹が現れるが、これが帯状に限定しておこるため帯状疱疹と呼ばれる。

通常、発疹の出る神経節の所属領域に痛みや知覚異常がおこる。
これがVZVが神経に沿って移動している時期。
数日すると、所属領域にまとまって発疹が出る、所属領域をこえてでるこは絶対ない。
三叉神経第2枝、3枝の支配領域に発症した場合は、発疹はつぶれて多数の口内炎様の症状をきたし、非常に苦痛を与える。
ひどい場合はびらんや潰瘍を形成し、飲食に支障をきたす。
症状が治まるのは、発症してから2週間ほど。
水ぼうそうと比べると長めである。

三叉神経の第2枝、3枝で発症した場合には、普通であれば同じ神経の支配領域である顔面の皮膚にも発疹が出る。
ところが、頻度は非常に低いものの、口腔粘膜のみに発疹の症状が出る場合が報告されている。
発疹だけでなく、その後の神経障害性疼痛の可能性を考えると、歯科医の判断の初動は非常に重要である。(ただし、発疹が少ないと診断は非常に困難)

三叉神経の支配領域
三叉神経の支配領域

なお、この時期の水疱は、VZVが含まれている。
感染履歴のある大人にはうつらないが、水ぼうそうの感染履歴のない小児にはうつる可能性がある。