B型肝炎の主体、B型肝炎のウイルス(HBV)は2本鎖のDNAウイルスである。
インフルエンザなどに代表される、変異の早いRNAウイルスと違い遺伝子の変化は遅い。
そのため、ワクチンによる予防が可能。
変異が遅いため、抗体が体内にあるとウイルスは排除される。

HBVは飛沫感染や経口感染はしない。
HBV保持者からの血液や分泌物との接触が原因となる。
感染経路は以下の4つである。
1 輸血・血液製剤治療
2 母児感染(垂直感染)
3 注射針刺し事故
4 性行為

1に関しては、1999年から全ての献血にHBV-DNA検査がおこなわれるようになったため激減した。
2はHBVワクチンが公費負担で母児感染対策に使用できるようになったため、ほぼ消滅。
3はワクチンの普及で減少しつつある。主な感染は覚醒剤使用の際の注射針の使いまわし。
4は、現在のHBVの感染の9割以上を占める。感染力の面からも深刻なSTD(性感染症/Sexually Transmitted Disease)

日本でのHBVのキャリア率は約1%強、150万人もいる。
発症後の経過は、感染時の年齢で異なる。
免疫システムの不完全な2歳までの乳幼児期の感染は、出産時の母子間の垂直感染が主体でキャリア化する。
感染の80~90%は無症状であるが、残りの10%は慢性肝炎、肝硬変に移行する。

それ以外の感染では、感染から2~6か月の潜伏期を経て多くは急性肝炎を発症するが、不顕性感染も少なからずある。
ほとんどは2~3か月で治癒するが、少なくとも1か月程度は入院や安静を要する。
キャリア化はまれだが、報告されている。
劇症化率は1~2%程度。
しかしながら劇症化すると、死亡率は70%程度と非常に高い。

最近問題になっているのは、日本の従来型HBV・ジェノタイプB,Cではなく、欧米タイプのジェノタイプAと呼ばれるもの。
成人になってからでの感染でも10%程度が慢性化慢性化し、キャリアとなる。

HBVの今後は、日本の従来型は垂直感染をほぼ遮断できるようになったため終息に向かうと考えられる。
欧米タイプのジェノタイプAが今後の課題となる。

続きます