小児の治療・治療手法

小児の治療は、生え変わることを前提とした治療が必要になってくる。
また、生え変わった永久歯も、その歯が完成しているかどうかで治療法が異なってくる。

乳歯の治療

乳歯の治療は、その特性ならびに生え変わるという点で、永久歯の治療とは手技を異とする。

軽度の虫歯

神経にう蝕がかかっていない場合の治療

前歯部

永久歯の場合であれば、単純にレジンにてう蝕を除去、充填するか、前装冠などによる補綴をおこなう。
ところが乳歯は弾性が強く、なおかつ小さい。
レジンによる修復をおこなっても、レジンと歯牙の弾性係数が異なるため、窩洞から脱落しやすい。
補綴物による修復はその小ささゆえ不可能である。

①レジンによる充填
一般的な手法である。
弾性係数の違いによる脱落を防ぐため、アンダーカット(引っかかり)のある窩洞が望ましい。
とはいえ、弾性係数の違いは如何ともしがたく、歯との接着面がはがれ、二次う蝕になりやすい。

②サホライドによるう蝕進行抑制
フッ化ジアミン銀をう蝕に塗布することで、進行を抑制する。
進行は完全に止められないが、乳歯の前歯部は間隔が大きく清掃しやすい形態なので、永久歯の萌出まで時間を稼ぐ。
特に前歯8本は、8歳までに抜け替わるので期間はそう長くはない。
ただし、う蝕部は真っ黒に変色する。
そのため、サホライドの治療は忌避されがちな傾向がある。

フッ化ジアミン銀製剤であるサホライド

サホライド

臼歯部

①充填材料による治療。
う蝕が隣接部に達していない場合は、充填材料で修復する。
当院では基本はグラスアイオノマーセメント・フジナイン。
自己接着性があるのと、フッ素含有により抗う蝕作用を有するためである。

実はアイオノマー修復は、あまりメジャーではない。
理由は、練和に手間がかかるのと、硬化に時間がかかるため、数をみることで成り立つ保険診療では嫌われる。
ただし、レジンに比べ予後は良い。
北大小児科でも、グラスアイオノマーが基本であった。

グラスアイオノマーの最高峰・フジナイン
グラスアイオノマーセメント

②金属による修復
乳歯は歯質が薄く、露髄の危険があるためインレーなどの金属修復は難しい。
維持形態を十分にとることは難しく、脱離しやすい。
そのため、う蝕が隣接部にかかる場合に限り金属修復となる。
大人に比べ、咬合力が強くないため、保険治療では銀合金が用いられる。
形態は、永久歯のインレーがスライスカット、もしくはフレアカットなのに対して、神経を避けるようにボックス形態をとる。

治療のスタンス

いずれの治療法をとるにしろ、永久歯の萌出が近ければ、積極的な治療はおこなわない。
最低限のう蝕除去をおこなったうえで、サホライドなどを塗布し、充填する。
う蝕の進行より、永久歯の萌出が先になれば良いという理屈である。